物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

青白い炎 ナボコフ

不思議な小説だ。 架空の詩人ジョン・シェイドの書いた青白い炎という作品に、キンボート博士が注釈を施して発行した学術書という体裁をとったこの本は、 前書き-詩-注釈-索引 から成り立っている。 しかしながら、注釈は学術的な面から浮遊し、それ自体…

アウラ・純な魂 カルロス・フエンテス

短編集。 耽美、若さを失う事への恐れ、エロス、幻想など。夢幻的な要素も多いけど、おどろおどろしくはなく、都市の中に幽かに見える常ならぬものの気配という感じ。洗練されている。フエンテスがメキシコ育ちではなく、ワシントンで教育を受けた事に機縁し…

破滅者 トーマス・ベルンハルト

新聞の批評でこの本の存在を知り、本当はナボコフの「記憶よ語れ」を読もうと思っていたのに、どうしても読みたくなって手に取った。ベルンハルト初めて読んだけど、 暗いのね。ペシミズムの極みというか(決っして面白くなかったわけではない、むしろ卑小な…