物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

絶望 ナボコフ

「カメラ・オブスクーラ」に続いて、ロシア語時代のナボコフ第二弾。ワクワク。
小説の構造がちょっと凝っていて、ある事件がもう終了した後に、それを計画した男が自分の記憶がその事件について語っているんですよという形をとっている。いわゆる、「信頼のおけない語り手」ね。
でも、推理小説じゃないから、何が語られていないかを一生懸命探して読まなくても大丈夫。騙されるのを楽しみたい。
主人公は自分には小説を書く才能があると信じていて、様々な文体とそれに対する注釈を述べていて、それがまるでナボコフの小説に対する批判のようで面白い。コナンドイルに対して、犯人はドクターワトスンでしたという小説を書いてシャーロックホームズシリーズを終了させれば良かったのに、と書いてあるのには笑ってしまった。アガサクリスティがそれ、やったね。
物語の終盤に差し掛かると、自分は才能があると言っていた主人公が、実はとんでもない間抜けだったという事が明らかになる。何によって?それは読んでのお楽しみ。


そのうちにもう、日本人なんて全員似たものどうしなんて言い出すんでしょうが。旦那がお忘れなのはさ、絵描きの目に飛び込んでくるのはまず、違いなんだってことでね。似てるとこしか見てないのはど素人だからね。ほら、映画に行くとよくリーダがすっとんきょうな声をあげるでしょうが「見て、うちのメイドのカーチャそっくりじゃない!」ってね。