物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

13 古川日出男 1998 日本

エピソードの全てを回収しきれていない気はするけれど、それは処女作ということで。 読み始めたときは、話が全体として肯定の側へいくのか、否定の側へいくのかが分からず、手探りでどっちだろなーと探ってた。根底に流れているのは希望だったので読後感は良…

巨匠とマルガリータ ミハイル・ブルガーコフ 1929〜1940,1966 ロシア

政治的な色っていうものは、どうしたって、その当時を生きてなければガツンと伝わってこないけれど、おもしろさは残ってく。 はちゃめちゃ。この本はハチャメチャです。悪魔によって、小市民が翻弄されていく様は映像を思い浮かべるだけで、笑ってしまう程面…

俘虜記 大岡昇平 1948 日本

大岡さんは観察者だ。観察して観察して、なぜ米兵を殺さなかったかを見つめ、捕虜収容所の人々のチンケな性格を見つめる。そして同時に、常に客体であって主体になれない観察者の哀しみを抱えているように思う。