物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

巨匠とマルガリータ ミハイル・ブルガーコフ 1929〜1940,1966 ロシア

政治的な色っていうものは、どうしたって、その当時を生きてなければガツンと伝わってこないけれど、おもしろさは残ってく。
はちゃめちゃ。この本はハチャメチャです。悪魔によって、小市民が翻弄されていく様は映像を思い浮かべるだけで、笑ってしまう程面白い。けれど、翻弄される市民の性格も意外と愛情を持って描かれている気がする。
マルガリータが悪魔の舞踏会で、たくさんの悪党に出会って、王も公爵も、騎士も自殺者も毒殺者も首つりも女衒も牢番もいかさま師も刑吏もたれこみ屋も裏切り者も狂人も探り屋も少女暴行魔も、もう、どうでもよくなっていた。という下りが好きです。悪も凡庸なもの。悪も善も両面で繋がっている。
そして、ヴォランドはマルガリータと巨匠に言います。この道を行きなさい。望む道を行きなさいと。