物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

ダロウェイ夫人 ヴァージニア・ウルフ 1925 イギリス

「めぐり合う時間たち」という映画の元ネタになった小説。映画を見た時はこの小説を読んでみたいと強く思ったわけでは無かったが、その後本屋でたまたまみつけて冒頭を少し読んで、面白そうだなと思い、いつか読んでもいいかなぁと頭の片隅に置いておいた所、この間読む本が切れていたので購入した。
クラリッサの意識から小説が始まる。この小説は人が今この瞬間に考えていること(それは、今目の前で起きている出来事についてだったり、過去のある時についてだったりする)をつづってゆく事で成り立っている。そして描かれる意識は主人公のクラリッサだけではなく、何人かの主要人物ーかつての恋人、友人、夫、更に使用人、娘、娘の家庭教師、叔母、従姉妹、知人、夫の知り合い、それから道行くクラリッサ及び主要人物がすれ違う人々にまで及ぶ。こういう手法を取ることによって、描かれているのは6月のある1日なのに、その中に過去の様々な出来事や人の思いが入ってきて何とも重層的な小説になっている。
読んでいて