物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

睡蓮の教室 ルル・ワン 1997 オランダ,(中国)

中国。文革の時代を背景にした少女の話。

少女が第二次成長を向える時の、自分の体を嫌だと思う気持ち、男の子を嫌う気持ち。同性を好きになる気持ち、それから、人と人の結びつき、パワーゲームの関係が描かれていると思う。

蓮は、女の子らしくない、ある種超人的なパワーを持った張金に興味を持ち、彼女を引き上げようと思って仲良くなっていくのだが、読んでいる側にはやがて、この蜜月が破断すると分かってしまう。
蓮は張金を導く立場であるし、階級も彼女の方が上なのだが、主導権を握っているのは、実は金の方なのだ。ざっくりいってしまえば、惚れたが負けの関係。張金は、最下層の人間で、なおかつ、いじめられっ子のどうしようもなく虐げられるような性質を備えている。恐らく貧乏じゃなくたって、金はいじめられただろう。金は蓮の登場によって、希望と更に深い絶望を味わう。可愛さあまって憎さ百倍、まさに愛憎である。