物語と手をつないでく

読んだ本について書いています。海外小説が多いです。

通話 ロベルト・ポラーニョ

普段は短編小説は好んで読まないけど、今年出遭ってしまった凄い才能〜ロベルト・ポラーニョ〜の日本語訳で読める小説なのでむさぼるように読んだ。
短編小説というと、ちゃんと起承転結があって、ラストのどんでん返しでどれくらい読者をびっくりさせられるかといった構成がセオリーのようになっているような風潮があるけれど、この短編集は違う。始まりから既に終わってるの。何も起きない。だけれども、それぞれの人生の瞬間になんだかきらめくような特別な瞬間があって、それは予兆から始まって、その瞬間は訪れて、そして去っていく。それの繰り返し。そんな事をずっと書いているの。それなのにちっとも飽きないんだよね。言葉で捉えら所のない人間の生の瞬間を、言葉を尽くして書くことが出来る希有な作家さんの一人だと思う。

”口に20センチもあるあれが出たり入ったりしている状態であえぎ声を出すのは大変で、すごく写真映えのする子でもフェラチオをすると、たぶんあまりにも没頭しすぎちゃうのか、顔が崩れて目も当てられなくなるけれど、わたしはきれいな顔で撮ってほしいの。”ジョアンナ・シルヴェストリ